企業不正に関するニュース : Corporate Fraud News

世界中の企業犯罪や非倫理的な行為を追いかけます

wirecardと添い遂げたファンドたちの末路

ドイツの有名ファンドから英国の有名なファンドマネージャーまで、FT紙が指摘したWirecardの会計不正疑惑に反して、Wirecard社にたいして大量の金額をベットしていた。最終的にそうしたファンドはWirecard社を訴えることになる。なぜ調査報道を誤報と決めつけて無謀な投資を続けたのかーー今後の教訓はそこにあるのか。

 

   昨年末、ドイツ人ジャーナリストのクリスチャン・キルヒナー氏のニュースレターFinanz-Szeneが報道したところによるとドイツを代表するファンドマネージャーの一人が、キルヒナー氏がワイヤーカードに「クレイジーな賭け」をしたという。

https://finanz-szene.de/banking/warum-sich-der-dws-chef-drei-seiner-topmanager-entledigt/

 

資産運用会社DWSでドイツの代表的なファンドのマネージャーを務めるティム・アルブレヒト氏は、当時51億ユーロのファンドの約9.2%をドイツの決済会社の株式に割り当てていたのである。キルヒネル氏は、ファンドのポートフォリオの1つの持ち株には10%という規制上の上限があることを考えると、アルブレヒト氏は事実上「全面的に参加した」ことになると指摘した。しかし、それだけではない。アルブレヒト氏は、自身が運用する2つ目の小型ファンドであるDWSインベストメント・ドイツ株式の9%をワイヤーカード株に投資していたのである。一方、彼の同僚でDWS Investaファンドを運用するChristoph Ohme氏は、同ファンドの7.2%をWirecardに割り当てていたた。他にも2人のDWSファンドマネージャーがWirecardに投資しており、ドイツ銀行の資産運用子会社であるこのファンドは、決済処理会社の大株主の1つとなっていた。


これはDAX30に比べてはるかにオーバーウェイトしていることを意味する。当時、ワイヤーカードのDaxのウエイトは1.7%であったのに対し、アルブレヒト氏のファンドは9.2%であった。


さらに、Wirecardの収益と利益の大部分が存在しないことを示唆する広範な証拠をFinancial Timesが発表したにもかかわらず、DWSのファンドマネージャーがWirecardの株を買い続けていたという。つまりアルブレヒト氏とその同僚は、FTの報道が間違っているとほうに5億ユーロ以上賭けていたことになる。


DWSは今週、同社と退任した最高経営責任者マーカス・ブラウン氏を裁判所に訴え、損害賠償を求めることを表明した。これは、KPMGによる特別監査が発表された後、同社の報告された利益のかなりの部分が本物であることを確認できなかったことを受けたものだ。今週、Wirecardの株式が5分の4の価値を失ったため、DWSは継続的なエクスポージャーをゼロに減らした。

https://www.ft.com/content/b3d664db-17c3-4648-8c10-b8bd667e290e