英クリストファー・ホーン氏が運用するヘッジファンドであるザ・チルドレンズ・インベストメント・ファンド(The Children's Investment Fund TCI)はミュンヘンでWirecardの幹部を提訴した。FTが報じている。
"Wirecardが2020年4月28日に発表したKPMGの報告書や、Financial TimesやWirtschaftswocheなどの公的な報道により、Wirecardのる異常性が明らかになった "とTCIは火曜日に発表した声明でのべた。
ドイツ・ミュンヘンの検察官は、TCIによるWirecardへの告訴状を受け取ったことを確認した。
約250億ドルの資産を持つ世界的なヘッジファンドであるTCIは、Wirecardの1.5%を空売りしている。
検察によると、TCIはWirecardがインド企業エルメスの買収に絡んだWirecard幹部や、Wirecardが第三者のビジネスパートナーが実施した無担保ローンの横領疑惑を提起しているという。
ドイツの検察庁はフィナンシャル・タイムズ紙に対し、TCIの告訴状を現在評価中であると語った。「現時点では、これ以上の情報は提供されない 」、「Wirecard AGの株価に影響を与えることは避けたい 」などとコメントしている
ドイツの法律では、刑事検察官は、第三者によって提出された告訴を受理すうかどうかの裁量権をもつ。検察官は、正当な理由があると判断した場合には正式な刑事捜査を開始したり、告訴を却下したりすることもできる。
Wirecardはすでにシンガポールでの刑事捜査、ドイツの金融監視機関であるBaFinによる調査、会計規制当局による調査にも直面している。
同社は不正行為を現在否定しており、現在実施中のKPMGの特別監査報告書をもって同社の会計不正疑惑は完全に払拭されることを期待している。KPMGの特別監査はすでに公表期限から二度も延期されているが、同社は延期の理由をコロナウイルスが理由だとしている。
Wirecardは声明の中で、TCIの申し立ては「全く根拠のないもの」だと反論、「Wirecardは今回の申し立てを空売り業者の純粋な戦術的な作戦と考えている」と述べた。