企業不正に関するニュース : Corporate Fraud News

世界中の企業犯罪や非倫理的な行為を追いかけます

Wirecard、消えた21億ドルの行方は?

wirecardの年次決算の4回目の公表延期となった。合わせて現金の19億ユーロ(21億ドル)が消失したと発表した。同社は数年にわたりファイナンシャルタイムズにより会計不正疑惑の追求を受けており、その疑惑の払拭のためにKPMGによる特別監査を受けているところだった。

corporate-fraud.hatenablog.com

 

ドイツの大手決済処理会社Wirecardの監査法人アーンスト・アンド・ヤングが、19億ユーロの金額の存在が確認できないと発表した。wirecardの主張ではアジアの2つの銀行に19億ユーロが存在するとされていたがそれらが確認できないという。

WirecardのCEOであるMarkus Braun氏は「我々は現地にいる受託者と連絡を取っている。以前に銀行から発行された確認書は、監査人によって承認されなくなった。... 現在のところ、Wirecard AG にとって不利益となる不正取引が発生したかどうかは不明だ」

しかし、現金の19億ユーロ(21億ドル)を保有するとされたアジアの2つの銀行が、Wirecardとの取引関係を否定した。フィリピン最大の銀行であるバンコ・デ・オロ・ユニバンク(BDO Unibank Inc.)とフィリピン諸島銀行は金曜日の別の声明で、Wirecardは顧客ではないとの声明を発表。 

「文書を偽造し、当社役員の署名を偽造したのは偽の従業員だった 」と、BDO Unibankの最高経営責任者であるNestor Tan氏は携帯電話のメッセージで語った。Wirecardは同社の預金者ですらないという。フィリピン諸島銀行は別の声明で、Wirecardは顧客ではなく、問題の調査中であるという。

Wirecardの株式は、金曜日のフランクフルトで午前9時11分に24%急落し、水曜日の終値から71%に株式の下落幅だ。2018年9月にドイツのダックス指数に参入した際に246億ユーロの価値があった同社は現在、約34億ユーロの価値しかない。

BDOとBPIの否定は、監査法人アーンスト・アンド・ヤングがアジアの銀行に保有されているはずの現金の行方を確認できなかったと主張し、「偽りの残高確認」が提供されたと報告したWirecardの木曜日の声明を裏付けるものだ。

BDOはWirecardの問題をフィリピンの中央銀行であるBangko Sentral ng Pilipinasに報告したという。