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大手監査法人のEY、Wirecardの銀行口座情報を3年間一度も確認しなかったと関係者

口座情報確認せず、初歩的な監査怠る  

大手監査法人のEY(アーンスト・アンド・ヤング)は、Wirecardが10億ユーロもの現金を保有していると主張していたシンガポールの銀行の口座情報を請求することを3年以上も怠ってきたという。ファイナンシャルタイムズが報じた

www.nikkei.com

10年間にわたってWirecardの監査を行ってきた大手会計事務所EYには、Wirecardが19億ユーロの現金が「存在しなかった」ことがあきらかになったあと、その監査能力と責任に重大な疑念の声があがっている。

 


関係者がフィナンシャル・タイムズ紙に語ったところによると、2016年から2018年にかけての監査役は、貸金業者がWirecardに代わって多額の現金を保有していることを証明するために、シンガポールOCBC銀行に直接確認しなかったという。

 

別の会社のシニア監査役によると、銀行残高の独立して確認することは、監査学校での1日目で習うようなことだという。 


WirecardはOCBCと取引関係はなく、フィンテックシンガポールに拠点を置く元受託者は銀行のエスクロー口座を持っていないとのこと。代わりにEYは、第三者の受託者やWirecard自身から提供された文書やスクリーンショットを確認するだけだったという。

 

当時のEY監査役ドイツ銀行の会計責任者

2015-17年度のワイヤーカード会計監査を監督していた会計士アンドレアス・レッチャー氏は現在ドイツ銀行の会計責任者を務めており、同氏とほか2人が、ドイツの個人投資家団体SdKから告発された。レッチャー氏はワイヤーカードの監査法人を長年務めたEYに在籍していた当時、今回の不正に関与した疑いが持たれている。ドイツ銀行は全ての人と同様に有罪が確定するまでは無罪だと推定する」との声明を発表している。

 

ドイツ銀行とワイヤーカードの蜜月

ドイツ銀行はワイヤーカードと深い関係を持つ。ワイヤーカードとその前最高経営責任者(CEO)ブラウン氏個人にも貸し付けがあり、同社が昨年社債を発行した際にはグローバル・コーディネーターを務めた。2014年のワイヤーカード株式売り出しでも主導的な役割を果たした。また傘下の資産運用会社DWSはファイナンシャルタイムズが会計疑惑を報道したあとに株価を買いまし大株主となっていた。

 

corporate-fraud.hatenablog.com

 

 

 https://www.ft.com/content/a9deb987-df70-4a72-bd41-47ed8942e83b

EYはワイヤーカードの会計不正疑惑について「世界の複数の機関が関与した、入念かつ巧妙な詐欺行為だ。」「最大限の強固な監査手続きでもこの種の不正は見つけられないだろう」などと弁明している。

 

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