企業不正に関するニュース : Corporate Fraud News

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KPMGよ、お前もか.... KPMGもWirecard会計不正問題に関与か == FT報道

Wirecard社の特別監査を担っていた大手会計監査事務所のKPMGがWirecardの会計不正問題に一部関与していた可能性が浮上している。ファイナンシャルタイムズ紙が報じた

昨年から今年にかけてKPMGはライバルの大手会計事務所EYのWirecard社に対する監査に穴があるという疑惑を受けて、Wirecard社の特別監査を実施していた。Wirecard社はファイナンシャルタイムズなどの調査報道により、会計不正の疑惑が3年以上の長期間にわたり取り出さされており、その長きにわたる疑惑の完全払拭を狙って、同社はKPMGの特別監査を受け入れたのが経緯だ。

Wirecard社はファイナンシャルタイムズに対してスラップ訴訟を仕掛け、記者を私立探偵などを雇い追い回すなど、なりふり構わず否定し続けた。同社は結果的にはFTの報道が完全に正しかったことを自身が資金不足で経営破綻するまで決して認めようとしなかった。KPMGの特別監査はこうした同社の疑惑を内部に入り晴らす役割が期待されていた。Wirecardの特別監査において、KPMGは、2016年の不正会計疑惑について適切なフォローアップを怠ったとしてEYを批判する報告書に添付された未発表の補遺を書いたこともFTによって明らかにされている。KPMGは、EYによる疑惑に関する調査は「不完全」であり、もっと入念に「調査されるべきだった」証拠があったと未公表の補遺で批判した。

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しかし、この同業者の仕事に対する批判的なKPMGの報告書には、モーリシャスの(Emerging Market Investment Fund 1Aと名付けられた)ファンドの監査人がKPMGであることに関する記述はなかったとFTがスクープした。FTによると、このファンドの監査に加えて、ビッグ4会計事務所もこの疑わしい取引でアドバイザリー的な役割を果たしており、関与したKPMGのパートナーの1人はそのあと同じモーリシャスのファンドで働くことになるという利益相反ともとれる動きがあったという。

KPMGは昨年、Wirecardの監督委員会から複数の不正疑惑を調査するために雇用されたが、2015年のEMIF 1Aとの取引は特別監査で検討された主な問題の1つであった。Wirecardのインドの資産が極めて短期間に大幅に値上がりしたことは、長年にわたり不正行為の疑いが向けられてきた。特にEMIF 1Aの背後にある最終的な受益者が不明であることから、不正行為の疑いが高まっていた。しかしFTが取材した関係者よると、EMIF 1A に対する KPMG の監査業務が開示されなかったのは、委任された調査に「無関係」と判断されたためであるという。

これらの関係者は、監査業務は、Wirecardに対する特別監査を実施している部門から法的に独立したKPMGの子会社によって実施されたと強調した。彼らはまた、KPMGによるEMIF 1Aの監査は、Wirecardの特別監査を担当していたドイツの監査チームにとっては、機密文書であるため、法的に立ち入り禁止であったと述べた。これをKPMG内で共有することは法律違反になるのだと彼らは主張したいう。

  KPMGはEMIF 1Aの監査業務とは別に、インドで物議を醸したWirecardの買収にも関連していた。インドの3つの決済グループのうちの1つの売り手は、KPMGにいわゆる「ベンダー・デューデリジェンス」の実施を依頼し、取引対象の業務の財務詳細をまとめた「ファクトブック」を作成していたという。

この活動は、KPMGがワイヤーカード特別監査の非公開の付録で開示していた。KPMGの特別監査に詳しい関係者は、Wirecardの調査に携わっていたEYの社員は「ファクトブック」にアクセスしておらず、その内容を熟知していなかったとフィナンシャル・タイムズ紙に語っている。

また、フィナンシャル・タイムズが入手した文書によると、ベンダーのデューデリジェンスに携わっていたインドのKPMG社員のうちの1人が、数カ月後にビッグ4企業を退社し、取引から切り離された旅行会社Goomoの上級職に就いたことも明らかになっている。EMIF 1Aに支配されていたGoomoはその後、ファンドから5000万ドルの資金調達を受けたほか、Wirecard Bankからの融資も受けた。