Wirecardは同社から21億ドルが行方不明になったとの発表をうけて株価がここ二日で大幅下落した。Wirecardはソフトバンクとの不思議な結びつきがある。 corporate-fraud.hatenablog.com
ソフトバンクのハロー効果で株価が一時上昇、ソフトバンクはそれをマネタイズした
Wirecardとソフトバンクとの最初の接触は昨年、同社と戦略的協力協定を結び、10億ドルのWirecardの転換社債を購入することに合意したと発表した頃だ。しかし、のちに最終的にはソフトバンク自身が資金を投入したわけではないことが判明した。その代わりに、ソフトバンクの従業員とソブリン・ウェルス・ファンドのムバダラがこの取引に資金を提供し、仕組債を通じてその持分を売却した。約10億ドルの転換社債を通じた表向きのwirecardへの支援は、Wirecardの株価を急騰させ、空売り業者にダメージを与えた。そしてそれから1年、これらの債券はwirecardが2000億円以上の現金が突如消失したと発表したのち、73%下落して約19.9ユーロセントとなり、金曜日にはさらに11.7ユーロセント下落した。事情に詳しい関係者は同社は 現在Wirecard と直接の財務関係はないと証言する。Wirecardにとってソフトバンクのこの取引は一種のハロー効果をもたらしたといえる。株式市場においてハロー効果はウォーレン・バフェットがバークシャー・ハサウェイの資金を企業に投資すると、その企業の株価が上がるといった現象のことを指す。これは、バフェットが株を選ぶのが上手いから長期的に上がるという期待感からもたらされる「後光効果」だ。バークシャー・ハサウェイほどの名声はないが、ソフトバンク・グループは独自のハロー効果を持っているか、あるいはしばらくの間は持っていた。ソフトバンクの孫正義氏は、バフェット氏のように、カリスマ的でフォーク調の天才的な雰囲気と投資で成功してきた歴史を持っているし、ソフトバンクが企業に資金を投入するということでその企業が巨大な成長機会を持つと市場参加者に思わせることができるというわけだ。ソフトバンクは勝者を選ぶことに長けているし、ソフトバンクはその企業を他の多くの投資先企業に紹介するだろうし、ソフトバンクはその企業の電撃的な成長を、増え続けるバリュエーションで巨額の資金を投入してサポートするだろうと多くの人が予測する。このソフトバンクのディールはそうしたソフトバンクの後光効果そのものをマネタイズしたものといえるだろう。ソフトバンクの投資によって企業が得た価値の即時的な上昇をパッケージ化し、実際のソフトバンクはその保有分を実質的に売却し、利益を得る。